恋色カフェ
────何だろう。
前の職場だって、3年前だって、こういう、自分の飲み物を人に飲まれることなんてたくさんあった筈、なのに。
ザワザワする。
「ファジーネーブルもたまに飲むと美味いな」
酔っているせいなのか、私へやけに艶っぽい眼差しを向けた勝沼君を、何だか正視することが出来ない。
「ちょっと、ごめん……」
少しふらついたものの、どうにかトイレに逃げ込む。何の考えも無しに来てしまったけど、ここにアンバーのスタッフが居なかったことにホッと胸を撫で下ろした。
ふと覗けば、鏡の中の私は重力に逆らわない顔をしている。口角も上げず、何もかもが下がり、沈んだままだ。