恋色カフェ
意地悪く口角を上げた顔が、一瞬視界に入った──筈。
こっち、と店長の声が微かに耳を掠め、腕を引っ張られたかと思えば。
(煙草の、匂い)
空いていた個室に引きずりこまれ、頭に手が触れると、あっという間に遮られた視界。今、目の前に見えているのは、店長の白いシャツだけ。
今日はキッチンにも立っていたからか、シークレットの香りはしなかった。
「変なこと考えただろ」
「……、え」
「そういうの、何て言うか知ってる?」
店長の指先が、意地悪な動きで首筋を撫でる。
「……ッ」
「嫉妬、もしくは、やきもち」
私の顔を覗き込んだ店長は、目を細め、淡い笑みを浮かべていた。