恋色カフェ
「ちょっとお待たせしちゃうかもしれないんすけど、彼女酔ってるもんで、ギリギリまで寝かせてあげたくて」
運転手は、いえ、こちらは構いませんよ、と慌てたような声を出す。
今言ったことは、半分は本当で、半分は偽りだ。
ただ、一分でも一秒でも長く、彼女の重みを、温もりを感じていたくて──。
そんな本心を正直に言ったら、単に気味悪がられるだけだ。
……本心、と言えば。
彼女は俺の心の内を知ったら、きっと幻滅するだろう。もしかしたら、今回のことを仕掛けた万由よりも、一番卑怯なのは俺かもしれないのだから。
勝沼はもう一度、彗を見下ろした。
彼女は穏やかな顔で眠っている。