恋色カフェ
「いたっ」
どうやら跳ね上がった時、車の天井に頭をぶつけたらしい。彗は頭を押さえながらも、痛みで顔を歪めることなく、思いきり目を見開いている。
「ど、どうして……」
「さ、降りるっすよ」
「え、ちょっと、え?」
彗は混乱している様子で、今度は目を白黒させている。
それも当然だろう。起きてみれば自分はタクシーの中で、しかも隣にいたのは自分が思っていた相手じゃないのだから。
「運転手さん、すみません。もうちょっとだけここで待っててもらえますか」
「大丈夫ですよ」
勝沼の一言で、ようやく自分の置かれた状況が呑み込めたのか、こんどは酷く狼狽えている。