恋色カフェ
そつのない彼女しか見たことがなかったから、今日は意外な面を知れた気がする。
そう思ったら勝沼の口元が緩んだ。
「ご、ごめんっ! わ、わ、私、勝沼君に送ってもらっ……」
「謝らなくていいから。とにかく降りますよ」
「だって、」
「でないと俺も帰れないすから」
思惑通り、その台詞は効果てき面だった。駄目押しに、小さくため息まで零して見せる。
彗はごめん、と呟いて俯き、それ以上は何も言わず黙ってタクシーを降りた。
「……送ってくれて、ありがとう。タクシー代は……」
「店長から領収書貰ってこいって言われてるから、心配無用っす」
「そう……じゃ、これで……」
勝沼が華奢な腕を掴むと、彗はビクンと小さく震えた。