恋色カフェ
言葉で言葉を塞ぐように、被せられた三文字が空を切る。なのに、次の言葉までは少し間があった。
「……俺は、頼りにならない?」
「……、え」
「勝沼の方が、頼りになる?」
店長は渋い顔つきで視線を逃がし、自分の髪をクシャリと乱す。
「……悪い。今の忘れて」
私とはそれから目を合わすことなく、店長は事務所の扉の前まで歩を進めると、ノブに手を掛けた格好で動きを止めた。
「ミーティングで話した計画が本格始動するのは来週からだけど、俺はもう準備に入るから、今週はあまり店に顔出せないと思う。
俺がいない間に何かあったら、フロアマネージャーに指示を仰いで」
私が「わかりました」と口に出せた時には既に、事務所に店長の姿はなかった。