恋色カフェ
「高宮さん、階段、先行って」
「え、」
「もし万が一高宮さんがふらついても、俺が後ろなら支えられるから」
自分も箱を持っているのに、どうやって支えるのかと思ったが、口には出さなかった。
……それよりも、何となく事務的じゃない、緩めの空気が久しぶりで。
「ほら、重いから早く行くよ」
「あ、は、はい」
階段を一段一段、ゆっくり慎重に上る。早く上がってしまえばいいのかもしれないけど、それこそはずみで箱を落としたら大変だ。
店長は私の歩調に合わせ、ゆっくり後ろをついてくる。
「大丈夫?」
掛けられた言葉の声色が思いがけず優しくて、目にじわりと液体が滲みそうになった。
視界が歪んだらまずい、とぐっと堪える。