恋色カフェ
彼は私の手を引いて、路地へ向かって走り出した。さすがに追いかけてはこないようだ。
しばらく走り、息苦しくなってきたところで勝沼君は立ち止まった。
「はあ……苦しーっ。大丈夫っすか、彗さん」
「……う、ん」
まだ繋がれている手をどうしたらいいものかと悩んでいると、勝沼君が苦しそうな顔をこちらに向けた。
「すんません……なんとなく、彗さんが困ってるように見えたんで……よかったすか、って今更っすよね」
すんません、と項垂れた勝沼君に、焦ってとにかく首を横に振って見せる。
「助かった……ありがとう」
あの時、勝沼君が来てくれなかったら、きっと今頃秀人に連れていかれていただろう。