恋色カフェ


勝沼君は、肩から掛けられた赤茶色のミニショルダーをもう一方の手で直しながら、言い訳するようにそう言った。


「本当に、私はどこでも大丈夫」


必死に見えた彼を、かわいいと思っちゃいけないだろうか。

私が思わずクスクスと笑みを零すと、馬鹿にしてるでしょ、と不服そうな声を出して、さっきよりも早足で歩き始めた。



速いテンポで歩いたからか『Con te』には1分もかからず到着した。

今日が平日のせいか店内は比較的すいていて、勝沼君が言っていた個室のように区切られた席に無事座ることが出来た。


「この席ってカップルに使われてることが多いから、今日は空いてて良かった」

「私は個室席じゃなくても、どこでも良かったけど……」

「なに強がり言ってんすか。さっき後ろ振り返って不安げな顔したくせに」


< 380 / 575 >

この作品をシェア

pagetop