恋色カフェ
個室席にしたのは、私の為だったんだ。
「ここなら入ってきた客にあまり顔を見られることもないでしょ」
彼の気遣いが、気持ちが、私に痛みを与える。
どうして痛いんだろう──彼は悪いことをしている訳じゃないのに。
どうして応えられないんだろう──彼のことは、嫌いじゃないのに。
そう思った時、さっきの秀人の姿が頭に蘇って、私はそれを黒く塗りつぶしたくて、きつく目を瞑った。
「……大丈夫っすか。何か食べれる?」
「あ……うん、大丈夫」
私は広げられたメニューの中からグラタンを選んだ。これなら何とか胃に流し込める。