恋色カフェ
「……私こそ、ごめん、ね」
まだ喉はひくついているものの、やっと言葉に出来た。今度は私の方が謝る番だ。
「私が勝手に、泣いただけ、だから。気にさせて、ごめん」
言いながら、チラリと勝沼君を窺えば、どこかきまりの悪い顔を見せている。
「子供でもないのに、ほんと、格好悪いよね……」
いつまでもこの状況を続ける訳にはいかない。従業員口の鍵はもちろん、私も持っている。終電の時間も近づいているし、早く勝沼君を帰さなくては。
「私はもう少し、ここで休んでいくから。勝沼君はもう……」
「帰らないっすよ、俺は」
勝沼君はきっぱりそう言うと、すぐ側の階段まで足を進め、そこへドカリと腰を下ろした。