恋色カフェ
私には秀人が……彼がいるんだから!
状況判断の裏、あの時封印した感情の上では、私の理性が必死に叫んでいた。
それを解いちゃいけない、って。
……なのに。
初めて感じるキスの気持ち良さに、ふと気づけば、求められるままに応えてしまっていた。
離れて、不意に見せた優しい微笑。
その時──何かが緩み始めたのを、自覚する。
「店ちょ……」
「……ヒロム。今はそう呼んで。
でないと、帰さない」
そう言いながらも、また口は塞がれ。
何度も奪われる唇に、息が苦しい。
ようやく一呼吸吐き出すと、自分の口から漏れた色っぽい声に、血の気が引いた。
脳内がぐるりと反転して、我に返った私は、店長の胸を押し車を飛び降りた。
口内に残った煙草の苦味に、顔をしかめながら───…。