恋色カフェ


私達がフロアに戻ると、待ってましたとばかりに、レジ上げしたスタッフから「トータルで前年比180%超えましたー!」と声が上がった。

予想をはるかに上回る数字に、フロアはしばし歓喜の声に包まれる。こういう時の一体感って、いいな、って思う。



ここにもし、いつも通り万由さんがいて、私がフロアに出ることがなかったら、やっぱり疎外感を感じただろうか──。


『彗さんも一人で仕事してるんじゃないってこと』


勝沼君の声で、その言葉がはっきり胸に響いた。



今の私には私のフィールドがある。

そこで、自分が出来ることを精一杯頑張ってみよう。目に見える形ではないかもしれないけど、少しでも大好きなアンバーに貢献できるように。


さっきは勢いで「辞めてもいい」なんて言っちゃったけど……そんな台詞は、全力を出した人しか使っちゃいけなかった。



勝沼君の方に恐る恐る視線を向けてみる。が、彼と目が合うことはなかった。

合ってもお互いに気まずかっただろうから、それはそれで良かったのかもしれない。


──ありがとう。

私は勝沼君に向けて、心の中でそう呟いた。



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