恋色カフェ
「もちろん、煕さんにもそのことは正直に話したわ。彼はひたすら私に謝って、すぐにでも離婚しようって言ってくれたんだけど」
理英さんはそう言って、ふ、と寂しそうな笑みを零す。
「そんなの、赦される訳ないじゃない。だってあっちは大企業の社長様のご子息よ?」
「世間体、ってことですか」
「そう。スピード離婚なんかしたら、あっという間に尾ひれ付きで広まっちゃう。それがやがて、企業やらの悪評に姿を変えるのよ」
小さくため息を吐いてから、理英さんはこちらを向いて微笑んだ。
「私の方は今すぐにどうこうなる関係じゃなかったし、煕さんにはその時点で好きな人もいなかった。だから、提案したの」
「提案……?」
「どちらかが次に進める状況になったら、その時に離婚しましょうって」
理英さんがあまりにあっけらかんと話すものだから、逆に戸惑う。傍からは円満な夫婦に見えていた2人が、実は夫婦としての実態が無かった、なんて。
私は少なからず、ショックを受けていた。