恋色カフェ
「あの……前に勝沼君から聞いたんです。店長から、今付き合ってる女の子を教えてもらってたって」
理英さんは私の言葉に、一瞬、驚きの表情を見せる。
「店長は本当に離婚の為だけに、そういうことをしていたんですか」
不覚にも、声が震えてしまった。
理英さんは大きくため息を吐いて、俯く。
「……あいつったら。どうしてそんなことまで彗ちゃんに話しちゃったんだろう」
言ってはいけなかっただろうか。程無くして顔を上げた理英さんは、困惑の色を強く滲ませていた。
「この際だから正直に話すけど……勝沼君には黙っててくれる?」
頷くと、理英さんはもう一度ため息を吐き、改めてこちらに向き直った。
「彼には、証人になってもらいたくてね」
「証人……?」
「写真だけじゃなく証言も必要だ、ってことになって。そこまでしなければ、納得しなかったのよ、両家とも」
「それは……勝沼君にわざとそういう情報を流した、ってことですか」
利用したんですか、と言いそうになって、慌てて言葉を飲み込んだ。そのことは本意ではなかったんだと、理英さんの苦しそうな顔を見ればわかる。