恋色カフェ


「あの……前に勝沼君から聞いたんです。店長から、今付き合ってる女の子を教えてもらってたって」


理英さんは私の言葉に、一瞬、驚きの表情を見せる。


「店長は本当に離婚の為だけに、そういうことをしていたんですか」


不覚にも、声が震えてしまった。

理英さんは大きくため息を吐いて、俯く。


「……あいつったら。どうしてそんなことまで彗ちゃんに話しちゃったんだろう」


言ってはいけなかっただろうか。程無くして顔を上げた理英さんは、困惑の色を強く滲ませていた。



「この際だから正直に話すけど……勝沼君には黙っててくれる?」


頷くと、理英さんはもう一度ため息を吐き、改めてこちらに向き直った。


「彼には、証人になってもらいたくてね」

「証人……?」

「写真だけじゃなく証言も必要だ、ってことになって。そこまでしなければ、納得しなかったのよ、両家とも」

「それは……勝沼君にわざとそういう情報を流した、ってことですか」


利用したんですか、と言いそうになって、慌てて言葉を飲み込んだ。そのことは本意ではなかったんだと、理英さんの苦しそうな顔を見ればわかる。


< 484 / 575 >

この作品をシェア

pagetop