恋色カフェ
「ちょっと、離してっ!」
息を吸うのが精いっぱいで、彼女に何を言われても、もう返事すら出来ない。あまりの息苦しさに、万由さんの腕を掴んでいない方の手は、膝についてしまった。
「腕、痛い、ってば」
手を振りほどかれそうになって必死で掴むと、歪んだ彼女の顏。痛がらせているのはわかっている。けど、今、この手を振りほどかれる訳にはいかない。
「なんで」
ようやく息が整い始め、声が出せるようになった私は、途切れながらも万由さんに疑問をぶつけた。
「無断欠勤、なんか、したの」
カッと目を見開いてから、万由さんは私の顔を思いきり睨みつける。
「ハ、白々しい」
「白々しいって……」
「アンタも知ってたんでしょ? それで、私の滑稽な姿を見て、影で笑ってたんでしょ?」
「何言って……」
「知らないなんて、言わせない!」
一方的な言い分を捲し立てたかと思えば、今度はうっすら目に涙を溜めている。
一体、彼女に何があったというのか。