恋色カフェ
私は、前に勝沼君が連れて行ってくれたカフェまで、万由さんを引っ張って行った。確かモーニングも出していた気がする、と曖昧な記憶ではあったけど。
その間、万由さんは私にあらゆる文句を浴びせていたが、カフェの近くまで来た頃には、観念したのか、おとなしく私に腕を引かれていた。
小さなカフェは、私の記憶と違わず開いていて、安堵する。中に入る前にアンバーにもう一度電話すると、出たのは、店長。
「今、万由さんと一緒にいます」
電話の向こう側の彼は一瞬、言葉を詰まらせたものの、すぐに、わかった、と返した。
ドアを開けると、以前居た初老の男性ではなく、端整な顔立ちの若い男性がカウンターに立っていた。
私達を見て、何事かと窺うような表情を見せる。それも当然だろう。1人は苛立ちを顕にして、1人はその人の腕をガッチリ掴んでいるのだから。
店内には、入り口側の奥にサラリーマンらしき男性が1人だけだった。私達はサラリーマンとは離れ、窓際の席に腰掛ける。