恋色カフェ
「まだしらばっくれるんだ」
「悪いけど私、本当に知らないの。しらばっくれてもいないし」
万由さんは怪訝そうにこちらを見つめる。が、程無くして少しだけ眉間の皺を緩めた。
「……本当に、知らないの?」
「そう、本当に」
頷きながらそうきっぱり言ってみせると、万由さんは呆れたような、気が抜けたような、複雑な顔でため息を吐く。
「……なんなのよ、もう」
それはこっちの台詞だよ、と言ってやりたかったけど、彼女の瞳にまた涙が滲んだのを見たら言えなくなった。
「……復讐、されたんだと思ってた」
「復讐?」
物騒な物言いに、今度は私の方が怯む。
「アンタと最初から結託して、まんまと餌に食いついた私を見て、陰で笑っていたんだとばかり……」
「結託って……店長と、ってこと?」
ボロボロと、彼女の頬を涙が滑る。それを拭うこともせず、万由さんは口を開いた。
「他に誰が居るのよ!」
人目を気にしなくともよくなったからか、万由さんは途端に語気を荒げる。