恋色カフェ
「……私は、アンバーの為には、やっぱり彼女の力が必要だと思ってます。だから、辞めさせてほしくなかった」
「確かに、土屋は仕事の出来る人間ではあるけど……」
一瞬、困ったような表情を見せて、店長は窓の方を向いてしまった。
ドクドクと心臓は早鐘を打ち鳴らす。私は少しの躊躇いを捨て、白いシャツの後ろ姿に思いきり言葉を投げつけた。
「店長はどうして、万由さんを傷つけるようなことをしたんですか」
静寂が、2人の間に流れる。店長は背を向けたまま。
「……まさか、万由さんが私をここに居辛くさせたから、なんて言いませんよね」
店長は一向に、こちらを向く気配も、口を開く気配も無い。
私はそれでも構わず続けた。
「これも、店長が言っていた“責任”の一環ですか」
「……」
「もしそうだとしたら、そんな責任は負ってほしくなかった」
職場の環境は確かに大事だけれど、彼女を傷つけ、排除してまで守ってもらわなくてはいけないことなんかじゃない。