恋色カフェ



「わ……」


店長が招き入れてくれた部屋を見て、思わず声を上げてしまった。


デザイナースマンションは賃貸情報誌で写真だけは見たことがあったけど、実際の部屋を見るのは初めて。

間取りも斬新で、部屋同士の仕切りが少ないせいか、かなり広く見える。


誰もが憧れる部屋。ここに、店長は住んでいるんだ――。



「早く、中入って」


部屋に見蕩れていると、不意に耳の後ろで声が聞こえ、思いきり心臓が跳ね上がる。


「あ、ご、ごめんなさい……!」

「部屋、そんなに綺麗じゃないから。あんまりじっくり見るなよ」


そう言われて、改めて部屋を見渡してみる。確かに、ソファーに服が掛けられていたり、雑誌が床に置かれてはいるけど、汚いという訳じゃない。

男の人の部屋なら充分、綺麗な方じゃないだろうか。



「まったく、じっくり見るなって言ってんのに……」

「だって、あまりに素敵で」


彼は、ふ、と笑みを落とし、私の頭に手を乗せた。


「何か、飲む?」

「あ……はい」

「じゃ、そこ座ってて」


< 540 / 575 >

この作品をシェア

pagetop