恋色カフェ
「わぁ……」
濃褐色と白。綺麗に、透明なカップの中で2色に分かれている。
これは何だろう。ただの珈琲の上に、軽くホイップした生クリームが乗っているだけだろうか。
「暑いから冷たい飲み物にしようかと思ったけど、この時間に体を冷やすのはよくないかと思って」
「アイスコーヒーじゃ、ないんですか?」
「これは、アイリッシュコーヒー」
「アイリッシュコーヒー?」
「まあ、飲んでみて」
店長はそう言いながら私の隣に腰掛け、先にアイリッシュコーヒーに口をつけている。
「やっぱり即席だから、イマイチだな」
店長がイマイチなものを作る訳がない。コーヒーと名の付くものなら、尚更。
カップを手に取り、一口、口に流し入れてみる。冷たい生クリームと、熱いコーヒーが口の中で混ざり合う。
「何か……風味が違う」
「ただのコーヒーじゃないからね」
「何が入ってるんですか?」
「ウイスキーだよ。ジェムソンっていう、アイリッシュウイスキー」
「えっ、お酒……」
「大丈夫。多少アルコールは飛ばしてあるし、彗のはあんまり入れてないから」