恋色カフェ
「そう、なんですか」
ぎこちなく返しながら、不用意に店長の方を向くと、カウンターに肘をつき、緩く握った拳に頬を乗せて、こちらを見つめている。
ただでさえ隣に座られて、体に無駄な力が入ってしまっているというのに。
危なく、肩まで跳ね上げるところだった。
「……ところで。
この間俺が言ったこと、思い出した?」
この人は──やっぱり逃がしてはくれない。
どうにかして、動揺を隠そうとコーヒーのカップに手を伸ばしてみるも、かえって動揺を晒す結果になってしまった。
指先にまで緊張が走っていたせいで、取っ手を握り損ない、カタン、と鳴ったカップ。
もう一度握ろうとすると、大きな手が上から私の手を包んだ。