恋色カフェ
「その様子だと、思い出したんだ?」
握られた手は、また熱を帯びる。
早く離してほしいと思いながら、ある一方で、全く真逆のことを考えてしまっているのを、いい加減自分でも気づき始めていた。
……ううん、違う。
多分、本当はもっと前から────。
「滑稽、でしたよね」
「滑稽?」
「だって、奥さんのいる人にあんな……」
店長に出会えて、幸せでした
私は店長のこと、一生忘れません
──これでも、随分言葉を選んだつもりだった。
本当はさっきこぼしたクリップみたいに、心の中にあるだけすべて、ぶちまけてしまいたかった。
どうせ、二度と会えなくなるなら。
それぐらい、赦されるんじゃないか、って。