恋色カフェ
グラリと、大きく揺らいだ体勢。違う。揺らいだのは、体勢だけじゃない。
──はっきり、自覚した。
私を包む心地良い熱に、封印を、完全にとかされてしまった。
「……彗……」
初めて呼ばれた名前は、頭上から降り注ぎ、私の身体全体に染み渡る。
喉の奥が苦しい。……泣きそうだ。
「……離婚が成立して、どうしようかと連絡を躊躇している時に
会ったんだ、あの場所で、彗と」
信じられなかった、と言い添えた店長の声は、私の鼓膜に、切なげに響く。
「3年だよ、3年。
3年は、決して短い時間じゃない。人の気持ちも変わってて当然だ」
店長は一度、私を離して椅子から立ち上がると、もう一度、何かを確かめるように私を抱きしめた。