定義はいらない
「本がたくさんあるんだな。」


服を着て彼は私の部屋を物色する。

「テレビないんだね。」

「そのパソコンがテレビ代わりです。」

「さすが現代っ子。」

「そんなに若くはないですけど。」


パソコンを開いて音楽をかける。

ムードのある音楽。

英語の歌詞が耳に優しい。

何を歌っているか分からないから。


「いくつだっけ?」

「来月26歳になります。」

「14離れてるのか。そう言われると何かね。」

ちょっと苦笑いする。

悪いと思ってないくせに、嘘の表情。


「男性は40歳からですよ。」

「そうかな。まだイケるかな。」

「イケてるから今、ここにいるんでしょ。」

「そっか。」


そう言ってまたベッドに寝転ぶ。

狭い私の部屋には見て回るものなんて何もない。


「けっこう難しい本読んでるんだね。」
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