シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
―――通達―――
今をもって、これより国境を閉鎖する。
指示があるまで如何なる者も通してはならぬ。
アラン・ランカスター・ギディオン
6日前、城の使いの者が持ってきたこの通達。
城から急いで出されたこの通達に、使いの者は息を弾ませていた。
何があったのか、走り書きのように文字が乱れている。
アランらしくもない文字に、緊張が走った各国境の警備塔は、すぐに厳戒態勢を敷いて門を閉鎖した。
尋常ではなかったその書状、今回の閉鎖は長引くかと誰もが思った。
だが、2日目に出された通達で、あっさりと閉鎖は解かれた。
しかし、その2度目の通達に各警備塔はますます緊張を高めることになる。
“これは、命を張らなければならない”と。
各国境に通達と一緒に来たジェフの配下の兵士たち。
その物々しく武装した姿。鋭い光を湛えた瞳。
人数は5人と少ないが、選りすぐりの精鋭であることが一目で伺われた。
「これよりパトリック様の命により、我らが国の入出を監視する。塔の警備兵は手荷物検査を、しかと行うようにとのことだ。よろしく頼む!」
「承知いたしました!」
それからずっと彼らは昼夜を問わず、交替で出入りの人々を鋭い瞳で監視している。
「サム、これはやばいぞ。あの武装してる兵士たちはジェフの配下で、団トップクラスの精鋭だ。しかも、私たちは顔を知られてしまっている。こりゃこの国を出られんかもしれんぞ」
ヘビンの街、宿屋と商店で賑わう通りの物陰で、二人の男が国境の門の様子を探っていた。
「あぁ、強行突破する手もあるが、あれだけ一般人がいちゃ難しいな」
国境の門には出入りする人や待ち合わせてる人や見送りの人などでごった返している。特に、出る人に対する手荷物検査が厳しくて、長ーい列が出来てしまっていた。
「それに・・・荷物検査も厳しいときてる。もう少し身を隠すか、夜中・・・だな」
二人は顔を見合わせてニヤッと笑うと、路地裏に消えていった。
「どうだ?まだ奴らは現れないか?」
ジェフは警備塔の小窓の外に見える門の様子を、鋭く眺めながら部下に問い掛けた。
「奴らは未だに現れません。団長、私は悔しいです。城の兵から裏切り者が出るなど。しかも、よりによってあの方を―――」
悔しげに眉を寄せ、唇を噛む兵士。
「奴らの顔ははっきりと覚えております。どんなに変装していても必ず見つけてみせます。この命に変えても、絶対に逃がしません」
そう言い切る兵士の額に、嵐の爪痕がくっきりと刻まれていた。
今をもって、これより国境を閉鎖する。
指示があるまで如何なる者も通してはならぬ。
アラン・ランカスター・ギディオン
6日前、城の使いの者が持ってきたこの通達。
城から急いで出されたこの通達に、使いの者は息を弾ませていた。
何があったのか、走り書きのように文字が乱れている。
アランらしくもない文字に、緊張が走った各国境の警備塔は、すぐに厳戒態勢を敷いて門を閉鎖した。
尋常ではなかったその書状、今回の閉鎖は長引くかと誰もが思った。
だが、2日目に出された通達で、あっさりと閉鎖は解かれた。
しかし、その2度目の通達に各警備塔はますます緊張を高めることになる。
“これは、命を張らなければならない”と。
各国境に通達と一緒に来たジェフの配下の兵士たち。
その物々しく武装した姿。鋭い光を湛えた瞳。
人数は5人と少ないが、選りすぐりの精鋭であることが一目で伺われた。
「これよりパトリック様の命により、我らが国の入出を監視する。塔の警備兵は手荷物検査を、しかと行うようにとのことだ。よろしく頼む!」
「承知いたしました!」
それからずっと彼らは昼夜を問わず、交替で出入りの人々を鋭い瞳で監視している。
「サム、これはやばいぞ。あの武装してる兵士たちはジェフの配下で、団トップクラスの精鋭だ。しかも、私たちは顔を知られてしまっている。こりゃこの国を出られんかもしれんぞ」
ヘビンの街、宿屋と商店で賑わう通りの物陰で、二人の男が国境の門の様子を探っていた。
「あぁ、強行突破する手もあるが、あれだけ一般人がいちゃ難しいな」
国境の門には出入りする人や待ち合わせてる人や見送りの人などでごった返している。特に、出る人に対する手荷物検査が厳しくて、長ーい列が出来てしまっていた。
「それに・・・荷物検査も厳しいときてる。もう少し身を隠すか、夜中・・・だな」
二人は顔を見合わせてニヤッと笑うと、路地裏に消えていった。
「どうだ?まだ奴らは現れないか?」
ジェフは警備塔の小窓の外に見える門の様子を、鋭く眺めながら部下に問い掛けた。
「奴らは未だに現れません。団長、私は悔しいです。城の兵から裏切り者が出るなど。しかも、よりによってあの方を―――」
悔しげに眉を寄せ、唇を噛む兵士。
「奴らの顔ははっきりと覚えております。どんなに変装していても必ず見つけてみせます。この命に変えても、絶対に逃がしません」
そう言い切る兵士の額に、嵐の爪痕がくっきりと刻まれていた。