シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
「シルヴァ様が?」
人で賑わう城下の商店街のドレス専門店。
そこの店主が、丸い瞳をさらに大きく見開いて驚きの声を上げていた。
「はい。サルマンの北屋敷はご存知ですね?シルヴァ様は、そこに明後日採寸に来るようにと申しております。あと、デザイン画と布とサンプルを沢山持ってくるようにとも」
「沢山と申しますと・・・当店では、隣国の生地なども使用しておりますが、それもお持ちした方が?」
使いは悩むように顎鬚を弄った後、店内を見廻した。
「そうですね。ここにあるものすべて―――で宜しいかと。ただ、彼女は美しいブロンドの髪と紫の瞳をお持ちです。その色彩に合うものをお願い致します」
―――サルマンの北屋敷といえば、最近急いで整備されていたところじゃないか。
どなたが使われるのか思っていたが、やはりシルヴァ様だったのか。
街では近々結婚なさるのではないかとも噂されている。
ただの噂かと思っていたが、これは―――
「あ、あの方は花がお好きでいらっしゃいます。では、頼みましたよ」
使いの者はニッコリと微笑むと、丁寧に挨拶をして店を出ていった。
―――シルヴァ様がドレスをご注文とは・・・。
今までどんな女性にも贈ったことがないのに。余程大切な方なのだろう。
これはチャンスだ。ここで気に入って貰えれば、出入りの仕立屋になれるぞ。
よーし、こうしちゃいられない。早速段取りしなくては。
「マック、角の家に住んでいるデザイナー・・・何という名だったかな――あいつと、あと三人くらい有名なのが居ただろう?それと、この間デザイン持ち込んで来た、あの新人にも声かけてデザイン画を沢山作らせろ」
「えーっと、リリア、生地屋に連絡して最新のものを、価格は問わないから上等なものを用意させろ。女性の特徴は今聞いていたな?期限は明日の夕刻までだ。さぁ急げ!」
傍にいた二人の店員に一息に命じると、店主はウロウロと落ちつかなく店の中を歩き回った。
―――さぁ忙しいぞ。何せ急だからな。
しかし、揃えるのはいいが、運ぶとなればあれが必要だ・・・あれが何としても要る。
しかし、急なことだ。そう簡単には用意できない―――
店主はイライラと爪を噛みながら歩き回った。
数刻後、何かを思いついたように丸い顔を輝かせると、いそいそと店を出た。
「そこを行くのは、仕立屋の店主じゃないか?」
誰だ?この忙しいのに。
イライラと振り返った店主の顔が、みるみる営業用の笑顔へと変わり、胸の前で手を揉んだ。
「これはこれは――――御久し振りでございます」
人で賑わう城下の商店街のドレス専門店。
そこの店主が、丸い瞳をさらに大きく見開いて驚きの声を上げていた。
「はい。サルマンの北屋敷はご存知ですね?シルヴァ様は、そこに明後日採寸に来るようにと申しております。あと、デザイン画と布とサンプルを沢山持ってくるようにとも」
「沢山と申しますと・・・当店では、隣国の生地なども使用しておりますが、それもお持ちした方が?」
使いは悩むように顎鬚を弄った後、店内を見廻した。
「そうですね。ここにあるものすべて―――で宜しいかと。ただ、彼女は美しいブロンドの髪と紫の瞳をお持ちです。その色彩に合うものをお願い致します」
―――サルマンの北屋敷といえば、最近急いで整備されていたところじゃないか。
どなたが使われるのか思っていたが、やはりシルヴァ様だったのか。
街では近々結婚なさるのではないかとも噂されている。
ただの噂かと思っていたが、これは―――
「あ、あの方は花がお好きでいらっしゃいます。では、頼みましたよ」
使いの者はニッコリと微笑むと、丁寧に挨拶をして店を出ていった。
―――シルヴァ様がドレスをご注文とは・・・。
今までどんな女性にも贈ったことがないのに。余程大切な方なのだろう。
これはチャンスだ。ここで気に入って貰えれば、出入りの仕立屋になれるぞ。
よーし、こうしちゃいられない。早速段取りしなくては。
「マック、角の家に住んでいるデザイナー・・・何という名だったかな――あいつと、あと三人くらい有名なのが居ただろう?それと、この間デザイン持ち込んで来た、あの新人にも声かけてデザイン画を沢山作らせろ」
「えーっと、リリア、生地屋に連絡して最新のものを、価格は問わないから上等なものを用意させろ。女性の特徴は今聞いていたな?期限は明日の夕刻までだ。さぁ急げ!」
傍にいた二人の店員に一息に命じると、店主はウロウロと落ちつかなく店の中を歩き回った。
―――さぁ忙しいぞ。何せ急だからな。
しかし、揃えるのはいいが、運ぶとなればあれが必要だ・・・あれが何としても要る。
しかし、急なことだ。そう簡単には用意できない―――
店主はイライラと爪を噛みながら歩き回った。
数刻後、何かを思いついたように丸い顔を輝かせると、いそいそと店を出た。
「そこを行くのは、仕立屋の店主じゃないか?」
誰だ?この忙しいのに。
イライラと振り返った店主の顔が、みるみる営業用の笑顔へと変わり、胸の前で手を揉んだ。
「これはこれは――――御久し振りでございます」