シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
「マック、荷車はこれしかないのか?しまった、うっかりしていたな。もう一台要る・・・おい、隣の店から借りて来い。渋ったら代金を弾め」
城下の市場通りで、朝早くから仕立屋の声が響く。
サルマンの北屋敷に運び入れる荷物は、一台の荷車にはどうにも収まり切らない。
普段はあまり荷物を運ばない仕立屋には、小さい荷車しかない。
昨日の内にかき集めた美しい布やドレスのサンプルなど、全部を積むには手持ちの荷車には載せきれなかった。
「おい、頼んでおいた人手はまだ来ないのか?」
いそいそと布を運び準備するリリアに、イライラとした口調で問い掛けた。
「人ですか?頼んだのですか?私は知りませんよ。それよりも、突っ立ってないで店長も運んでくださいよ。こんなに沢山の物、私たちだけじゃ無理です!」
ムスッとしたふくれっ面を向け、軽く店長を睨んだ。
「だから人を頼んだんじゃないか。ちっ、仕方無いな―――どれを運べばいいんだ?」
リリアに軽く睨まれ、焦った店主は店の中に荷物を取りに入った。
「店長、荷車を借りて来ました。それから、この方々が手伝ってくださるそうです」
マックが荷車と五人の男を連れて戻ってきた。
「何?やっと来たか。遅いじゃないか。早く手伝ってくれ。もう約束の時刻はとっくに、過ぎてんだ」
リリアに反物箱を沢山持たされて出てきた店主は、前を見るのがやっと。
よたよたしながら荷物を置くと、五人の男を改めて見て、目を丸くした。
それというのも、皆体格が良すぎる程に良い。それに、目付きが何ともいえずに悪かった。
確かに力持ちを貸すとは仰っていたが。こんな荷物を運ぶだけなのに、こんな厳つい者達を貸して下さったのか・・・。
「あー、リリア。この方々に指示して、とっとと支度を済ませろ。午前中には屋敷の中で準備を整えなければいけないんだ。急げ!」
布やドレスにハンガーラックやマネキンまで。満載に積まれた荷車が、ガタガタと音を立ててサルマンの屋敷に向かう。
朝の8時から始めた準備は思ったよりも時間がかかり、屋敷に着いた時には既に午前10時を回っていた。
「サルマン様、仕立屋で御座います」
玄関扉の前で、手揉みをしながら満面の笑みを浮かべて開けられるのを待つ店主。
「お待ちしておりました。シルヴァ様は今出かけられておりますが、時期に戻られる。さぁどうぞ」
店に来た使いの者がにこやかに出てきた。
「遅くなりまして申し訳ございません。どちらの御部屋に準備したら宜しいでしょうか?」
仕立屋が手を鳴らすと、色とりどりの荷物を目一杯抱えた男たちが、ぞろぞろと玄関先まで歩いてきた。
「この通り、様々にご用意して参りました」
城下の市場通りで、朝早くから仕立屋の声が響く。
サルマンの北屋敷に運び入れる荷物は、一台の荷車にはどうにも収まり切らない。
普段はあまり荷物を運ばない仕立屋には、小さい荷車しかない。
昨日の内にかき集めた美しい布やドレスのサンプルなど、全部を積むには手持ちの荷車には載せきれなかった。
「おい、頼んでおいた人手はまだ来ないのか?」
いそいそと布を運び準備するリリアに、イライラとした口調で問い掛けた。
「人ですか?頼んだのですか?私は知りませんよ。それよりも、突っ立ってないで店長も運んでくださいよ。こんなに沢山の物、私たちだけじゃ無理です!」
ムスッとしたふくれっ面を向け、軽く店長を睨んだ。
「だから人を頼んだんじゃないか。ちっ、仕方無いな―――どれを運べばいいんだ?」
リリアに軽く睨まれ、焦った店主は店の中に荷物を取りに入った。
「店長、荷車を借りて来ました。それから、この方々が手伝ってくださるそうです」
マックが荷車と五人の男を連れて戻ってきた。
「何?やっと来たか。遅いじゃないか。早く手伝ってくれ。もう約束の時刻はとっくに、過ぎてんだ」
リリアに反物箱を沢山持たされて出てきた店主は、前を見るのがやっと。
よたよたしながら荷物を置くと、五人の男を改めて見て、目を丸くした。
それというのも、皆体格が良すぎる程に良い。それに、目付きが何ともいえずに悪かった。
確かに力持ちを貸すとは仰っていたが。こんな荷物を運ぶだけなのに、こんな厳つい者達を貸して下さったのか・・・。
「あー、リリア。この方々に指示して、とっとと支度を済ませろ。午前中には屋敷の中で準備を整えなければいけないんだ。急げ!」
布やドレスにハンガーラックやマネキンまで。満載に積まれた荷車が、ガタガタと音を立ててサルマンの屋敷に向かう。
朝の8時から始めた準備は思ったよりも時間がかかり、屋敷に着いた時には既に午前10時を回っていた。
「サルマン様、仕立屋で御座います」
玄関扉の前で、手揉みをしながら満面の笑みを浮かべて開けられるのを待つ店主。
「お待ちしておりました。シルヴァ様は今出かけられておりますが、時期に戻られる。さぁどうぞ」
店に来た使いの者がにこやかに出てきた。
「遅くなりまして申し訳ございません。どちらの御部屋に準備したら宜しいでしょうか?」
仕立屋が手を鳴らすと、色とりどりの荷物を目一杯抱えた男たちが、ぞろぞろと玄関先まで歩いてきた。
「この通り、様々にご用意して参りました」