シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
「エミリー。今、ちょうど仕立屋の―――っ!」
部屋の扉を開けるなりシルヴァが目にしたのは、白く細い腕を掴んでソファの上に膝を乗せている男の姿。
「・・・・貴様、何をしている!離れろ!!」
もう片方の腕は、細い身体を包み込もうとしていた。
男は突然部屋に入ってきたシルヴァを見て、しまったというように顔をしかめた。
「誰か!早く来い!曲者だぞ!」
シルヴァは用心深く男を見据えたまま叫び、身構えた。
「何が目的だ。彼女を、離せ」
男を見据えながらジリジリと距離を縮めていく。
間も無く、シルヴァの叫び声に、数人の警備員と使用人が部屋に走り込んで来た。
「ぅ・・・・っ・・・」
それぞれが小さな叫び声をあげ、息を飲んだ―――
男のグリーンの瞳が鋭く光り、自分の周りを囲んでいる男達に注がれる。
「まいったな」
僅かな間瞳を閉じたあと、もう一度エミリーを見つめた。
”・・・・”微かに口を開いて呟かれた言葉。
耳に声が届くか届かないかの小さな呟きは、エミリーにはしっかりと伝わっていた。
「え・・?あの―――」
不思議そうに男を見つめるアメジストの瞳。
男は薄い唇を歪めると、腕を離して窓に向かって走り、躊躇なく桟を超えてひらりと飛び降りた。
そう、まるですぐそこに地面があるかのように。
その行動に、両手を口に当てて息を飲むエミリー。驚きのあまり、声も出ない。
「馬鹿な奴だ。ここは2階だぞ」
シルヴァがすぐさま窓から下を覗くと男が庭を走って逃げていくのが見えた。
「おい!そいつを逃がすな!」
下にいた使用人に声をかけるも、男は幾人もの攻撃をするりとかわして走り続ける。やがて門扉の向こうに消えていった。
「バトラーは一体何をしているんだ!あれほど傍を離れるなと言っておいたのに!」
怒りをぶつけるように窓の桟を拳で叩いた。
そしてすぐに、つかつかとソファの前まで来ると、跪いて少し震えている手を握った。
「怪我はないか?奴に何かされたか?」
「いいえ、何も。何もされていません。あの・・・彼は?」
「逃げた」悔しげに顔をしかめるシルヴァ。
その脇でエミリーはホッと安堵の息を漏らし、さっき男の言った言葉を思い返していた。
―――あの人、どうしてあんなことを言ったのかしら。
それに、笑っていたわ。あの人は何者なの―――?
「怖かっただろう?もう2度とあんな目には合わせない」
シルヴァのその言葉に、周りを囲んでいた警備員や使用人たちが唖然とした顔で振り向いた。
彼らの心の声を一言で表すのなら、こうだ。
”お前がそれを言うか?”
部屋の扉を開けるなりシルヴァが目にしたのは、白く細い腕を掴んでソファの上に膝を乗せている男の姿。
「・・・・貴様、何をしている!離れろ!!」
もう片方の腕は、細い身体を包み込もうとしていた。
男は突然部屋に入ってきたシルヴァを見て、しまったというように顔をしかめた。
「誰か!早く来い!曲者だぞ!」
シルヴァは用心深く男を見据えたまま叫び、身構えた。
「何が目的だ。彼女を、離せ」
男を見据えながらジリジリと距離を縮めていく。
間も無く、シルヴァの叫び声に、数人の警備員と使用人が部屋に走り込んで来た。
「ぅ・・・・っ・・・」
それぞれが小さな叫び声をあげ、息を飲んだ―――
男のグリーンの瞳が鋭く光り、自分の周りを囲んでいる男達に注がれる。
「まいったな」
僅かな間瞳を閉じたあと、もう一度エミリーを見つめた。
”・・・・”微かに口を開いて呟かれた言葉。
耳に声が届くか届かないかの小さな呟きは、エミリーにはしっかりと伝わっていた。
「え・・?あの―――」
不思議そうに男を見つめるアメジストの瞳。
男は薄い唇を歪めると、腕を離して窓に向かって走り、躊躇なく桟を超えてひらりと飛び降りた。
そう、まるですぐそこに地面があるかのように。
その行動に、両手を口に当てて息を飲むエミリー。驚きのあまり、声も出ない。
「馬鹿な奴だ。ここは2階だぞ」
シルヴァがすぐさま窓から下を覗くと男が庭を走って逃げていくのが見えた。
「おい!そいつを逃がすな!」
下にいた使用人に声をかけるも、男は幾人もの攻撃をするりとかわして走り続ける。やがて門扉の向こうに消えていった。
「バトラーは一体何をしているんだ!あれほど傍を離れるなと言っておいたのに!」
怒りをぶつけるように窓の桟を拳で叩いた。
そしてすぐに、つかつかとソファの前まで来ると、跪いて少し震えている手を握った。
「怪我はないか?奴に何かされたか?」
「いいえ、何も。何もされていません。あの・・・彼は?」
「逃げた」悔しげに顔をしかめるシルヴァ。
その脇でエミリーはホッと安堵の息を漏らし、さっき男の言った言葉を思い返していた。
―――あの人、どうしてあんなことを言ったのかしら。
それに、笑っていたわ。あの人は何者なの―――?
「怖かっただろう?もう2度とあんな目には合わせない」
シルヴァのその言葉に、周りを囲んでいた警備員や使用人たちが唖然とした顔で振り向いた。
彼らの心の声を一言で表すのなら、こうだ。
”お前がそれを言うか?”