シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
「こちらの布などいかがでしょう。サモアの生地で質が良く、この色はエミリー様の瞳によく映えます」
店主は満面の笑みを浮かべて反物を箱から出した。
「店主、色はいいが柄が今一つだな?」
広間にズラッと並べられた色とりどりのドレス。
三体のマネキンには美しい色のドレスが着せられ、床に敷かれたカーペットの上には、沢山の反物が所狭しと置かれていた。
テーブルの上にはデザイン画が何枚も出され、ソファに座った店主は反物の箱を何個も脇に置いていた。
「でもこの布をベースにして、このデザインで作ればきっと素敵なドレスが出来上がるわ」
アメジストの瞳がデザイン画と布を交互に見つめた。その瞼はまだ少し腫れている。
「そうだな。あなたはセンスがいい。店主、これに合うものはあるか?」
エミリーにぴったりと体を寄せて座るシルヴァ。
誰も寄せ付けまいとしているかのように、ソファに浅く腰かけて周りを警戒していた。
それというのも、やたらと体格の良い男が五人、等間隔で立ち並んでシルヴァを睨むようにじっと見ている為だ。
何が気にいらないのか、ムスッとした顔でこちらをずっと見ている。
リリアはソファの脇に立ち、マックは忙しげに指示された反物の箱を店主の脇に運んでいた。
「エミリー様、既製のドレスもよろしいですよ。あちらで試着も出来ますし。いかがですか?」
リリアが背後に並べられているハンガーラックを指さしてにこやかに言った。
差された方を見ると、ドレスはもちろん普段に着るワンピースもあるようだ。本当にお店のように準備してくれている。
「素敵だわ。良いですか?」
さっきからずっと手を握っているシルヴァに、離してもらうように視線で促した。
「仕方無いな」手を離しながら、五人の男の様子を油断なく見つめた。
男たちは今のところ微動だにしない。さっきのことで過敏になりすぎか?
あの男たちが怪しく見えるのも気のせいか。私としたことが・・・。
シルヴァは自嘲気味に笑った。
「好きなものを選んでいい」
「ありがとうございます」
リリアと一緒にハンガーラックのドレスを取り出し、話しながらあれこれ選び始めた。
「これなどいかがでしょう。エミリー様の紫の瞳によく似合いますわ」
楽しげにドレスを選ぶ姿を愛しげに見つめるシルヴァ。
店主がさっきからしている愛想話も上の空。
当然、ジリジリと動く男たちに気付くはずもない。
そして玄関前にゆっくりと停まる二台の黒い馬車。
車体に煌く紋章。馬から降り立つ何本もの脚。
馬車からゆっくりと降り立った人物は、脇に停められている仕立屋の荷馬車を一瞥し、目の前の広い屋敷を見据えた。
「そこの者、シルヴァ・サルマンに会いに来た」
店主は満面の笑みを浮かべて反物を箱から出した。
「店主、色はいいが柄が今一つだな?」
広間にズラッと並べられた色とりどりのドレス。
三体のマネキンには美しい色のドレスが着せられ、床に敷かれたカーペットの上には、沢山の反物が所狭しと置かれていた。
テーブルの上にはデザイン画が何枚も出され、ソファに座った店主は反物の箱を何個も脇に置いていた。
「でもこの布をベースにして、このデザインで作ればきっと素敵なドレスが出来上がるわ」
アメジストの瞳がデザイン画と布を交互に見つめた。その瞼はまだ少し腫れている。
「そうだな。あなたはセンスがいい。店主、これに合うものはあるか?」
エミリーにぴったりと体を寄せて座るシルヴァ。
誰も寄せ付けまいとしているかのように、ソファに浅く腰かけて周りを警戒していた。
それというのも、やたらと体格の良い男が五人、等間隔で立ち並んでシルヴァを睨むようにじっと見ている為だ。
何が気にいらないのか、ムスッとした顔でこちらをずっと見ている。
リリアはソファの脇に立ち、マックは忙しげに指示された反物の箱を店主の脇に運んでいた。
「エミリー様、既製のドレスもよろしいですよ。あちらで試着も出来ますし。いかがですか?」
リリアが背後に並べられているハンガーラックを指さしてにこやかに言った。
差された方を見ると、ドレスはもちろん普段に着るワンピースもあるようだ。本当にお店のように準備してくれている。
「素敵だわ。良いですか?」
さっきからずっと手を握っているシルヴァに、離してもらうように視線で促した。
「仕方無いな」手を離しながら、五人の男の様子を油断なく見つめた。
男たちは今のところ微動だにしない。さっきのことで過敏になりすぎか?
あの男たちが怪しく見えるのも気のせいか。私としたことが・・・。
シルヴァは自嘲気味に笑った。
「好きなものを選んでいい」
「ありがとうございます」
リリアと一緒にハンガーラックのドレスを取り出し、話しながらあれこれ選び始めた。
「これなどいかがでしょう。エミリー様の紫の瞳によく似合いますわ」
楽しげにドレスを選ぶ姿を愛しげに見つめるシルヴァ。
店主がさっきからしている愛想話も上の空。
当然、ジリジリと動く男たちに気付くはずもない。
そして玄関前にゆっくりと停まる二台の黒い馬車。
車体に煌く紋章。馬から降り立つ何本もの脚。
馬車からゆっくりと降り立った人物は、脇に停められている仕立屋の荷馬車を一瞥し、目の前の広い屋敷を見据えた。
「そこの者、シルヴァ・サルマンに会いに来た」