シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
「シルヴァ・・・今君は、ここには我々が探すような高貴な者はおらぬ、と申したな」
ソファに深く座り、シルヴァをじっと見据えるアラン。
ブルーの瞳には冷たい光りが宿り始めた。
「はい。確かに、ここにはアラン様のお探しするような、高貴な人物は居られません。他を当たるのが宜しいかと、存じます」
自分に向けられる威厳のあるオーラに怯まないよう、必死で気を張るシルヴァ。少し、額に汗が滲み始めた。
「・・・確かに、君にとっては高貴な者でないかもしれぬ。だが、私にとっては我が命よりも大切な者であり、”私の主”でもある」
アランの言葉に、そこに居た誰もが驚き、息を飲んだ。
パトリックが信じられないといったような面持ちで、アランをじっと見つめている。
「あ・・・主で御座いますか?あなた様の?御冗談を。こんなところで戯言を仰せになるとは・・・」
ブラウンの瞳が動揺して揺れている。
「戯言でない。我が主は姿が見えぬと思うと、いつも予想外の場所に居る。もしや、この屋敷の中に迷い込み、”帰れぬ”と、涙を零しておるやもしれぬ」
声は静かだが、怒りを宿した瞳は光を湛え、冷たい殺気を含んだオーラが部屋の中に広がっていく。
脇にいたパトリックを始め、兵士達もピリピリとした空気に身動ぎをした。
「あ・・・あなた様の主と言うのであれば、尚更・・・ここには居られないと存じます・・が・・・」
今まで立っていたシルヴァの体が徐々に沈み込み、堪らず床の上に跪いた。
気を張って立ち上がろうにも、膝が言うことを聞かない。
そんな二人のやり取りの様子をずっと見ていたバトラー、自身も立ちあがることが出来ず、シルヴァを助けようにも、声も出せずにいた。
自分のガクガク震える脚を、恨めしげに見つめる。
―――パトリック様も恐ろしい方だが、これはその比ではない。
この方を怒らせると、こんなにも凄まじいのか・・・これはもう、お返しするしかないのでは・・・。
悔しげに唇を堅く結ぶバトラー。
「仮に、この屋敷に我が主が迷い込んで居れば、シルヴァ、君は何とする」
床に手を突き、何とか立ち上がろうと足掻くシルヴァに、容赦なく威厳が放たれる。
「・・・もしも、・・・仮に、居られたとしても、あなた様の主と認められなければ、お返しすることは・・出来かねます・・・ここには・・リングの誓いをした者が居りますゆえ・・・」
俯いたまま、何とか声を絞り出すシルヴァ。
もう、ブルーの瞳と視線を合わせることは、全く出来なくなっていた。
「リングの誓い―――君は我が主と、それをしたと申すのか?」
ソファに深く座り、シルヴァをじっと見据えるアラン。
ブルーの瞳には冷たい光りが宿り始めた。
「はい。確かに、ここにはアラン様のお探しするような、高貴な人物は居られません。他を当たるのが宜しいかと、存じます」
自分に向けられる威厳のあるオーラに怯まないよう、必死で気を張るシルヴァ。少し、額に汗が滲み始めた。
「・・・確かに、君にとっては高貴な者でないかもしれぬ。だが、私にとっては我が命よりも大切な者であり、”私の主”でもある」
アランの言葉に、そこに居た誰もが驚き、息を飲んだ。
パトリックが信じられないといったような面持ちで、アランをじっと見つめている。
「あ・・・主で御座いますか?あなた様の?御冗談を。こんなところで戯言を仰せになるとは・・・」
ブラウンの瞳が動揺して揺れている。
「戯言でない。我が主は姿が見えぬと思うと、いつも予想外の場所に居る。もしや、この屋敷の中に迷い込み、”帰れぬ”と、涙を零しておるやもしれぬ」
声は静かだが、怒りを宿した瞳は光を湛え、冷たい殺気を含んだオーラが部屋の中に広がっていく。
脇にいたパトリックを始め、兵士達もピリピリとした空気に身動ぎをした。
「あ・・・あなた様の主と言うのであれば、尚更・・・ここには居られないと存じます・・が・・・」
今まで立っていたシルヴァの体が徐々に沈み込み、堪らず床の上に跪いた。
気を張って立ち上がろうにも、膝が言うことを聞かない。
そんな二人のやり取りの様子をずっと見ていたバトラー、自身も立ちあがることが出来ず、シルヴァを助けようにも、声も出せずにいた。
自分のガクガク震える脚を、恨めしげに見つめる。
―――パトリック様も恐ろしい方だが、これはその比ではない。
この方を怒らせると、こんなにも凄まじいのか・・・これはもう、お返しするしかないのでは・・・。
悔しげに唇を堅く結ぶバトラー。
「仮に、この屋敷に我が主が迷い込んで居れば、シルヴァ、君は何とする」
床に手を突き、何とか立ち上がろうと足掻くシルヴァに、容赦なく威厳が放たれる。
「・・・もしも、・・・仮に、居られたとしても、あなた様の主と認められなければ、お返しすることは・・出来かねます・・・ここには・・リングの誓いをした者が居りますゆえ・・・」
俯いたまま、何とか声を絞り出すシルヴァ。
もう、ブルーの瞳と視線を合わせることは、全く出来なくなっていた。
「リングの誓い―――君は我が主と、それをしたと申すのか?」