シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
―――?急に部屋の様子が変わった気がする。
なんだか空気がピリピリと揺れているような・・・。
扉が開いたからかしら・・・シルヴァが戻ってきたのかも。
すると、囲むように立っていた男たちの体が、サッと動いた。
――やっぱりシルヴァが戻ってきたのね。
と言うことは、守るように言っていたのはシルヴァ?・・・?おかしいわ・・・それじゃ警備員さんたちを倒す理由がない・・・??
エミリーは男たちの謎の行動の答えを探しながら、カップを口に運んだ。
すると、ピリピリと揺らいでいた空気が、すぅーっと静まっていった。
エミリーが顔を上げると、お茶を飲んでいた店主の丸い瞳が、さらに丸く見開かれていくのが見えた。口はぱくぱくと動き、カップを持ったまま脇を見て固まっている。
「店主さん・・・?」
カップをテーブルに置き、店主の向いている方を振り向いて見ると、今まで囲むようにいた男たちは、通り道を作るように両側に寄って頭を下げていた。
そして次にアメジストの瞳に映るのは―――
正装を着込んだ背の高い人影―――
それはシルヴァではなく、もちろん警備員でも使用人でもない。
それは瞳の中でゆっくりと大きくなっていき、やがて、アメジストの瞳いっぱいに、その柔らかな微笑みを映した。
―――うそ・・・どうして?・・・どうしてここに居るの・・・
目の前にいるのは、ずっと、ずっと会いたいと思っていた人。
もう二度と瞳に映すことができないと、もう二度と声を聞くことができないと、諦めていた人・・・。
とても高貴で、遠い空の向こうに居るはずのその人が、手を少し延ばせば触れられるところに、柔らかな微笑みを浮かべて立っている。
そのことが信じられなくて、ソファに座る身体が固まったまま動けないでいた。
そのまま見つめていると、銀の髪がふわりと揺れ、スッと腕が差し出された。
少し屈んで身体の前に差し出されているのは、武骨な手。
何があっても決して忘れまいと、ぎゅっと胸に閉じ込めていた、あの大きくて優しい手。
これは妙に現実味を帯びた夢かもしれない。もしかしたら、触れたら消えてしまうかも。それが怖い。夢なら覚めて欲しくない。
わたしはこの手を取ってもいいの・・・?
ほんとうに触れてもかまわないの・・・?
か細い指先が行ったり来たり、戸惑うように空を彷徨う。
アメジストの瞳がうるうると濡れ、揺らめきながらブルーの瞳を見つめた。
「全く、君は・・・」
ブルーの瞳が優しく光り、促すようにさらに手を差し出した。
やがて遠慮がちに出された指先は、存在を確かめるように
そうっと掌に触れた。
なんだか空気がピリピリと揺れているような・・・。
扉が開いたからかしら・・・シルヴァが戻ってきたのかも。
すると、囲むように立っていた男たちの体が、サッと動いた。
――やっぱりシルヴァが戻ってきたのね。
と言うことは、守るように言っていたのはシルヴァ?・・・?おかしいわ・・・それじゃ警備員さんたちを倒す理由がない・・・??
エミリーは男たちの謎の行動の答えを探しながら、カップを口に運んだ。
すると、ピリピリと揺らいでいた空気が、すぅーっと静まっていった。
エミリーが顔を上げると、お茶を飲んでいた店主の丸い瞳が、さらに丸く見開かれていくのが見えた。口はぱくぱくと動き、カップを持ったまま脇を見て固まっている。
「店主さん・・・?」
カップをテーブルに置き、店主の向いている方を振り向いて見ると、今まで囲むようにいた男たちは、通り道を作るように両側に寄って頭を下げていた。
そして次にアメジストの瞳に映るのは―――
正装を着込んだ背の高い人影―――
それはシルヴァではなく、もちろん警備員でも使用人でもない。
それは瞳の中でゆっくりと大きくなっていき、やがて、アメジストの瞳いっぱいに、その柔らかな微笑みを映した。
―――うそ・・・どうして?・・・どうしてここに居るの・・・
目の前にいるのは、ずっと、ずっと会いたいと思っていた人。
もう二度と瞳に映すことができないと、もう二度と声を聞くことができないと、諦めていた人・・・。
とても高貴で、遠い空の向こうに居るはずのその人が、手を少し延ばせば触れられるところに、柔らかな微笑みを浮かべて立っている。
そのことが信じられなくて、ソファに座る身体が固まったまま動けないでいた。
そのまま見つめていると、銀の髪がふわりと揺れ、スッと腕が差し出された。
少し屈んで身体の前に差し出されているのは、武骨な手。
何があっても決して忘れまいと、ぎゅっと胸に閉じ込めていた、あの大きくて優しい手。
これは妙に現実味を帯びた夢かもしれない。もしかしたら、触れたら消えてしまうかも。それが怖い。夢なら覚めて欲しくない。
わたしはこの手を取ってもいいの・・・?
ほんとうに触れてもかまわないの・・・?
か細い指先が行ったり来たり、戸惑うように空を彷徨う。
アメジストの瞳がうるうると濡れ、揺らめきながらブルーの瞳を見つめた。
「全く、君は・・・」
ブルーの瞳が優しく光り、促すようにさらに手を差し出した。
やがて遠慮がちに出された指先は、存在を確かめるように
そうっと掌に触れた。