シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
「エミリー、それ以上は何も申すな」
恥じらいながら発する声は小さいが、しっかりと耳に響く。
その何とも甘美な声は、アランを王子から一人の男へと変えてしまう。
湧き上がる衝動と闘い、何とか抑え込んでいたアランにとって、このアメジストの瞳とか細い指、それに耳に届く吐息混じりの声は扇情的なものとなる。
この清楚な色香に堪えられなくなり、更に泣かせることをしてしまいそうだ。
まだ正式に迎えてもいないのに、こんなところでそれをするわけにはいかない。
君を大切に、大切に想っておるのに・・・。
言葉を遮られたアメジストの瞳は不安げに揺れ、まっすぐにブルーの瞳を見つめていた。
うるうると濡れた瞳、艶めく柔らかな唇は僅かに震え、19歳の少女を初々しい色香を放つ女の顔に変えた。
これはブルーの瞳を捉えて離すことがなく、袖を掴む非力なか細い指はしっかりと体の動きを止め、しなやかな身体から離れようとしていた気持ちを、見事にぽっきりと折ってしまった。
「私は君の涙には弱い。君を誰よりも大切に想っておる。君のために離れようと思ったが、こんな風にされたら動くことは出来ぬ。良いのか?」
服を掴む指をほどいてそっと身体を包むと、胸にすっと頬が預けられた。
ブルーの瞳が一瞬見開かれたあと、フッと緩み、腕に力が込められた。
抱き締めるとエミリーの柔らかな香りがふんわりと漂う。
香水など付けなくても良い香りのする身体。
その心地よい香りを堪能し、自らの所業で乱してしまった髪を武骨な指で丁寧に梳いた。
ふわふわのブロンドの髪は手の中でサラサラと零れ、触れるたびに石鹸の香りがふんわりと漂う。
耳元の髪をふわりと避けると、首筋のシルヴァの刻印は丁寧に上書きされ、さらに紅く色づいていた。そして、その下にもうひとつ。新しい刻印が紅く色づいている。
―――コレは・・・承諾もないのに、まだ私のものでもないのに、コレは少々やりすぎた。
愛しさが溢れるあまり冷静さを欠いた結果、紅い刻印を更に増やしてしまった。
これでは消えるまで相当な時を要する。
髪も束ねられぬな・・・。鏡を見て驚く姿が目に浮かぶ・・・叱られるかもしれぬ・・・いや、叱られるどころか嫌われてしまうやもしれぬ。
涙を溢し、ぷいっと横を向く姿が心に浮かぶ。
もしもそうなったら、何としよう―――
自らの所業に深く反省するアラン、ブルーの瞳が惑うように空を彷徨った。
「エミリー・・・」
腕を少し緩めると胸に預けられていた頬が力なく動き、ふわりと腕に預けられた。
疲れたのか、心地よい揺れに意識を奪われたのか、愛しい主はいつの間にか腕の中で静かな寝息を立てていた。
「眠ったか」ブルーの瞳が優しさを湛え愛しげに見つめる。
”・・・・・”耳元に唇を近付けて囁きを残し、頬にそっと口づけをした。
恥じらいながら発する声は小さいが、しっかりと耳に響く。
その何とも甘美な声は、アランを王子から一人の男へと変えてしまう。
湧き上がる衝動と闘い、何とか抑え込んでいたアランにとって、このアメジストの瞳とか細い指、それに耳に届く吐息混じりの声は扇情的なものとなる。
この清楚な色香に堪えられなくなり、更に泣かせることをしてしまいそうだ。
まだ正式に迎えてもいないのに、こんなところでそれをするわけにはいかない。
君を大切に、大切に想っておるのに・・・。
言葉を遮られたアメジストの瞳は不安げに揺れ、まっすぐにブルーの瞳を見つめていた。
うるうると濡れた瞳、艶めく柔らかな唇は僅かに震え、19歳の少女を初々しい色香を放つ女の顔に変えた。
これはブルーの瞳を捉えて離すことがなく、袖を掴む非力なか細い指はしっかりと体の動きを止め、しなやかな身体から離れようとしていた気持ちを、見事にぽっきりと折ってしまった。
「私は君の涙には弱い。君を誰よりも大切に想っておる。君のために離れようと思ったが、こんな風にされたら動くことは出来ぬ。良いのか?」
服を掴む指をほどいてそっと身体を包むと、胸にすっと頬が預けられた。
ブルーの瞳が一瞬見開かれたあと、フッと緩み、腕に力が込められた。
抱き締めるとエミリーの柔らかな香りがふんわりと漂う。
香水など付けなくても良い香りのする身体。
その心地よい香りを堪能し、自らの所業で乱してしまった髪を武骨な指で丁寧に梳いた。
ふわふわのブロンドの髪は手の中でサラサラと零れ、触れるたびに石鹸の香りがふんわりと漂う。
耳元の髪をふわりと避けると、首筋のシルヴァの刻印は丁寧に上書きされ、さらに紅く色づいていた。そして、その下にもうひとつ。新しい刻印が紅く色づいている。
―――コレは・・・承諾もないのに、まだ私のものでもないのに、コレは少々やりすぎた。
愛しさが溢れるあまり冷静さを欠いた結果、紅い刻印を更に増やしてしまった。
これでは消えるまで相当な時を要する。
髪も束ねられぬな・・・。鏡を見て驚く姿が目に浮かぶ・・・叱られるかもしれぬ・・・いや、叱られるどころか嫌われてしまうやもしれぬ。
涙を溢し、ぷいっと横を向く姿が心に浮かぶ。
もしもそうなったら、何としよう―――
自らの所業に深く反省するアラン、ブルーの瞳が惑うように空を彷徨った。
「エミリー・・・」
腕を少し緩めると胸に預けられていた頬が力なく動き、ふわりと腕に預けられた。
疲れたのか、心地よい揺れに意識を奪われたのか、愛しい主はいつの間にか腕の中で静かな寝息を立てていた。
「眠ったか」ブルーの瞳が優しさを湛え愛しげに見つめる。
”・・・・・”耳元に唇を近付けて囁きを残し、頬にそっと口づけをした。