シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
「ぇ・・っと・・特に何も・・唇と首にキスされて・・・それだけです」


――怖い・・・。ドキドキする。

いつものアラン様じゃない。


なんだか尋問を受けているみたい。



「本当か?その間君は彼に身を任せ、されるがままになっておったのか?」


パトリックさんの甘いキス。

身体の奥まで蕩けるようで、抵抗してたけれど途中からまったく力が入らなくなった。

もしあのままやめてくれなかったら・・・。



「何度もやめて欲しいと、頼みました。けど、その度に唇が塞がれて―――」



言葉を止めるように、人差し指がふっくらとした唇に当てられた。



「分かった、もう良い・・・。知っておるか?今までに何度も、君のこの唇を奪おうとしたこと」


ツーっと丁寧に輪郭を辿る人差し指。

それだけで身体の奥がジンと痺れて動けなくなる。



――何度も?何度もって・・・。


「覚えておるか?前もこうしたことを。あの時も私は自分を抑えておった。正式に迎えておらぬのに、奪ってはならぬと思っておった」


――大切にしていたこの唇を、彼に先に奪われるとは・・・。


エミリーの様子を確認するように、ブルーの瞳が優しく見つめた。

濡れていたブロンドの髪は、渇いてふわふわと艶めき、頬は薔薇色に染まっている。膝の上に載っている手の指先は、今はまだしなやかに伸びている。



「私は、君のこの指に捕まり、君のベッドの中で、二度も眠れぬ夜を過ごした」


膝の上に載っていた手をそっと握り、指先にキスをした。


「え・・・?二度・・・」


一度目は覚えているけれど、二度目っていつ?

身に覚えがないのだけれど・・・。



「・・・これは言うまいと思ってはいたが、もういいだろう。二度目は昨夜だ。君は、昨日泣き疲れて眠っていたので分からぬだろうが、服を着替えさせたのも私だ」


「アラン様が・・・?あの・・・それって、つまり―――」


――見たの?

頬がどんどん熱くなっていくのが分かる。



どうしよう・・・心臓がドキドキして止まらない。
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