シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
「何処に離したらいいかしら・・・。やっぱり、木の多いところがいいわよね?そうしたら、えっと・・・」
「木の多いところがいいのなら、演習場の近くに大きな森があります。そこで放したらどうですか。あなたには少し遠出になるかもしれませんが」
政務塔の玄関先に立つ三人。
大切そうに小鳥の籠を抱えてるエミリーと、その後ろで辺りを警戒しながら立つ護衛のシリウス。
少し離れたところに、護衛の視線を避けるようにリードが横を向いて立っていた。
「エミリー様、演習場の方に行くことはなりません。鳥を放すのであれば、この近くで十分です」
「そうよね・・・やっぱり、演習場はだめよね」
「私は、別にどこでも構いませんよ」
リードは、早く場所を決めろと言わんばかりに、腰に手を当てた姿勢で、ため息交じりに呟いた。
「えっと・・・やっぱりあそこがいいわ。あの、木がたくさんあるところ」
その方角を見て、護衛もリードも驚きの表情を浮かべた。
綺麗なか細い指先が差すのは、塔の裏手にあるシャクジの森。
「あそこなら、きっとこのコも喜ぶと思うの」
いい考えでしょう?と言わんばかりに微笑むエミリーに対し、護衛とリードがほとんど同時に反対の声をあげた。
「シャクジの森ですか?あそこは保護区です。王族と係以外入ることはできません」
「あなたは無謀な人ですね。あそこは危険なところですよ?」
――危険なの?でも、前にアラン様と行った時は、そんなことなかったわ。
「あ・・・あの、入らなくてもいいの。入口から森にむかって放せばいいわ。それなら良いでしょう?」
「あなたは結構ワガママですね。その鳥は、元の場所に戻すのが一番いいのではないですか?」
リードは呆れたような声を出し、ため息混じりに提案した。エミリーは暫く考え込んだあと、腰に手を当てた姿勢のリードに向かって微笑んだ。
「このコは、あんなに酷い怪我が治って、生まれかわったようなものだもの。新しい場所で、新しい生活を始めて欲しいの。だから―――ね?」
「警備兵、アラン様に伝言をお願いする。“エミリー様はシャクジの森に参る”と。あの様子では、私では止められらない。急げ―――」
警備兵は護衛に頷くと、矢のように走っていった。
「分かりました。本当にあなたはワガママなお方ですね。何があっても私は知りませんよ?ではさっさと行きましょう」
外にいるせいかリードの警戒心が薄れ、エミリーに体が近付いていく。
並んで歩く様はまるで、仲の良い恋人のように見える。
「リードさん、このコを放すと――――っ!?」
突然ウェストに腕が回り、グイッと引き止められた。
「木の多いところがいいのなら、演習場の近くに大きな森があります。そこで放したらどうですか。あなたには少し遠出になるかもしれませんが」
政務塔の玄関先に立つ三人。
大切そうに小鳥の籠を抱えてるエミリーと、その後ろで辺りを警戒しながら立つ護衛のシリウス。
少し離れたところに、護衛の視線を避けるようにリードが横を向いて立っていた。
「エミリー様、演習場の方に行くことはなりません。鳥を放すのであれば、この近くで十分です」
「そうよね・・・やっぱり、演習場はだめよね」
「私は、別にどこでも構いませんよ」
リードは、早く場所を決めろと言わんばかりに、腰に手を当てた姿勢で、ため息交じりに呟いた。
「えっと・・・やっぱりあそこがいいわ。あの、木がたくさんあるところ」
その方角を見て、護衛もリードも驚きの表情を浮かべた。
綺麗なか細い指先が差すのは、塔の裏手にあるシャクジの森。
「あそこなら、きっとこのコも喜ぶと思うの」
いい考えでしょう?と言わんばかりに微笑むエミリーに対し、護衛とリードがほとんど同時に反対の声をあげた。
「シャクジの森ですか?あそこは保護区です。王族と係以外入ることはできません」
「あなたは無謀な人ですね。あそこは危険なところですよ?」
――危険なの?でも、前にアラン様と行った時は、そんなことなかったわ。
「あ・・・あの、入らなくてもいいの。入口から森にむかって放せばいいわ。それなら良いでしょう?」
「あなたは結構ワガママですね。その鳥は、元の場所に戻すのが一番いいのではないですか?」
リードは呆れたような声を出し、ため息混じりに提案した。エミリーは暫く考え込んだあと、腰に手を当てた姿勢のリードに向かって微笑んだ。
「このコは、あんなに酷い怪我が治って、生まれかわったようなものだもの。新しい場所で、新しい生活を始めて欲しいの。だから―――ね?」
「警備兵、アラン様に伝言をお願いする。“エミリー様はシャクジの森に参る”と。あの様子では、私では止められらない。急げ―――」
警備兵は護衛に頷くと、矢のように走っていった。
「分かりました。本当にあなたはワガママなお方ですね。何があっても私は知りませんよ?ではさっさと行きましょう」
外にいるせいかリードの警戒心が薄れ、エミリーに体が近付いていく。
並んで歩く様はまるで、仲の良い恋人のように見える。
「リードさん、このコを放すと――――っ!?」
突然ウェストに腕が回り、グイッと引き止められた。