シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
ひとつの馬車の列が城門から政務塔に向かってくる。
一番前には、騎手を勤める白馬に跨がった立派な騎士が二人。
その後ろを白い馬車が3つ。周りを兵士に囲まれてしずしずとすすんでいる。
馬車のうち、前後の二つはシンプルな装飾のないもの。
真ん中の一つだけが金の豪華な装飾が施され、紋章が日の光りにキラキラと煌めいていた。
ゆるゆると進む馬車は、やがて政務塔の玄関の前に辿り着くと、静かに止まった。
馬車の扉がゆっくりと開かれ、綺麗なクリーム色のドレスを纏った美しい姫が降り立った。
「マリア姫、ようこそおいで下さいました」
パトリックが恭しく頭を下げて手を差し出すと、マリア姫は優雅に手を乗せて微笑んだ。
「御機嫌よう。パトリック殿、お久しぶりですね」
「あなた様は相変わらずお美しい。このように迎えることが出来、私には身に余る光栄で御座います。どうぞ此方へ―――」
パトリックの優雅なエスコートで、マリア姫がしずしずと政務塔に入っていった。
その頃、エミリーはシャクジの森の入口で、緊張していた。
リードも初めて来る森の門の前で、ごくりと息を飲んでいた。
ラウルが見張り小屋から門の鍵を借りてきて、大きな閂をガタンと外した。
ギーッと軋む音を立てて開けられる門。
遠くから聞こえてくる獣の唸り声。
うっそうと茂る木々の間を、何かの生き物がガサガサと音を立てて枝を渡っている。
――こんなに怖いところだったかしら?
以前アラン様と来た時は、暗かったし、あまりよく分からなかったけど・・・。
いろんな獣の声が聞こえるし、何かがたくさん動いてるわ。
こんなところに、このコを放してもいいのかしら・・・。
「エミリー様、お早く事を済ませて下さい。長く門を開けておくことは出来ません」
「分かりました。リードさん、籠を開けて下さい。わたしがこのコを外に出すわ」
エミリーはリードに籠を開けて貰い、そっと小鳥を掴んで籠から出した。
掌の中でつぶらな瞳を嬉しそうに輝かせる小鳥。
「元気でいてね。もう怪我しちゃだめよ?」
包んでいた掌を開いて、空に向かって高く上げた。
小鳥は暫く掌の中で身動ぎをしていたが、バタバタと羽を二回羽ばたかせた後、エミリーの手の中から飛び立っていった。
近くの木の枝に止まって、うっとりするような綺麗な囀りを辺りに響かせた後、森の奥に消えていった。
一番前には、騎手を勤める白馬に跨がった立派な騎士が二人。
その後ろを白い馬車が3つ。周りを兵士に囲まれてしずしずとすすんでいる。
馬車のうち、前後の二つはシンプルな装飾のないもの。
真ん中の一つだけが金の豪華な装飾が施され、紋章が日の光りにキラキラと煌めいていた。
ゆるゆると進む馬車は、やがて政務塔の玄関の前に辿り着くと、静かに止まった。
馬車の扉がゆっくりと開かれ、綺麗なクリーム色のドレスを纏った美しい姫が降り立った。
「マリア姫、ようこそおいで下さいました」
パトリックが恭しく頭を下げて手を差し出すと、マリア姫は優雅に手を乗せて微笑んだ。
「御機嫌よう。パトリック殿、お久しぶりですね」
「あなた様は相変わらずお美しい。このように迎えることが出来、私には身に余る光栄で御座います。どうぞ此方へ―――」
パトリックの優雅なエスコートで、マリア姫がしずしずと政務塔に入っていった。
その頃、エミリーはシャクジの森の入口で、緊張していた。
リードも初めて来る森の門の前で、ごくりと息を飲んでいた。
ラウルが見張り小屋から門の鍵を借りてきて、大きな閂をガタンと外した。
ギーッと軋む音を立てて開けられる門。
遠くから聞こえてくる獣の唸り声。
うっそうと茂る木々の間を、何かの生き物がガサガサと音を立てて枝を渡っている。
――こんなに怖いところだったかしら?
以前アラン様と来た時は、暗かったし、あまりよく分からなかったけど・・・。
いろんな獣の声が聞こえるし、何かがたくさん動いてるわ。
こんなところに、このコを放してもいいのかしら・・・。
「エミリー様、お早く事を済ませて下さい。長く門を開けておくことは出来ません」
「分かりました。リードさん、籠を開けて下さい。わたしがこのコを外に出すわ」
エミリーはリードに籠を開けて貰い、そっと小鳥を掴んで籠から出した。
掌の中でつぶらな瞳を嬉しそうに輝かせる小鳥。
「元気でいてね。もう怪我しちゃだめよ?」
包んでいた掌を開いて、空に向かって高く上げた。
小鳥は暫く掌の中で身動ぎをしていたが、バタバタと羽を二回羽ばたかせた後、エミリーの手の中から飛び立っていった。
近くの木の枝に止まって、うっとりするような綺麗な囀りを辺りに響かせた後、森の奥に消えていった。