赤い狼 四





少しショボンとしながら稚春を見つめる。



でも、"隼人に渡す物"を探しているらしい稚春は

スクバの中をゴソゴソと探っていて俺のその視線に気付く事はなかった。




「…えーと、確かこの辺に………って、あっ!」



「おぅわっ!んだよ!急にデケェ声出すな!鼓膜が破れるじゃねぇか!」



「そーゆー隼人も煩いですー!塚、鞄の中じゃなくてポケットの中に入れてたんだった!」




あはっ♪と笑いながらジャケットのポケットを探る稚春。



お前は馬鹿か。どこになおしたかくらい自分でしっかり覚えとけよ。




本日何度目か分からない呆れと共にため息をついた。



と、同時に




「ジャジャーン!ラブレターでーす♪」




変な効果音を声に出しながら稚春がポケットから勢いよく"渡す物"を取り出した。





「……………。」





でも、暫くは皆無言だった。

何で無言だったのかは言わなくても分かる。だって俺もまさに今、ショックを受けていて喋れないんだから。




「…何で皆、無言?そして、固まってるよ?」




一向に動かない俺等を見て稚春が不思議そうな表情を浮かべて首を傾げる。




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