赤い狼 四
「あ。差出人の名前、隼人に言ってなかった!隼人ー!」
頭の隅で隼人を呼ぶ稚春の声がする。
…ダメだ、稚春。ダメなんだよ。
稚春が隼人に駆け寄ってニコリと笑う。
「何だ、稚春。」
その隣に居る隼人がとても優しい表情を稚春に向けている。
その間も俺の頭の中は"ひな"の事でいっぱいで。
………今更、何の用があるの?
その言葉ばかり浮かんでは消えて、浮かんでは消える。
立ち竦む俺の視線の先には隼人の手の中にある黒い手紙。
それが"ひな"からだと思うと、さっきまで感じていなかった感情が沸々と沸いて出てきた。
それは紛れもない
「その手紙、燃やして!」
"ひな"への憎悪。