赤い狼 四
はぁっ、と息を大きく吐く。
気持ち悪い。"ひな"なんて名前、聞きたくない。
急に叫んだからか、頭に激痛が襲ってきて顔を歪める。
俺の視界の端に、顔を顰めている隼人の顔が映った。
隼人が俺を睨んでいる。俺も隼人を睨み返した。
さっきまで騒がしかった部屋の中が、一気に静かになった。
「お、おい。稚春からの手紙が羨ましいからってそれは言い過ぎだろ…。」
連が俺と隼人を交互に見ながらおずおずと口を開く。
その言葉さえもウザく思えた。
チラリと視線を隼人から"ひな"からの手紙に移す。
"それ"は本当に真っ黒。
今日見た烏みたいだ、とぼんやりと思った。
あんな奴が書いたなんて、汚らわしい。
嫌悪感がムクムクと沸く。
「本当にそんな物、跡形もなく燃やしてしまえばぃぃのに。」
さっきよりか落ち着いた声ではっきりと口にする。
普段の俺では出さない低い声が部屋に響いて、隼人が更に眉を顰めた。
また誰も喋らなくなった部屋に沈黙が流れる。