赤い狼 四





本当に煩い!さっきまでの静けさはどこにいったんだ!




連が来るまでの静けさを思い出しながら解放された肩を優しく擦る。




「あー痛かった。肩が砕け散るかと思った。」



「砕けたらどうなるんだ?」



「複雑骨折で治るのに苦労するに決まってんでしょ!」




私の呟きを聞いて真剣な表情で首を傾げる連に律儀に質問に答えながら

「もう黙れ!」

と怒鳴る。


すると、連はしゅんとして肩を落とした。




「そんなに怒らなくてもぃぃじゃーん。寂しかったんだろ?じゃあ、騒がしい俺が来て良かったじゃねぇかよー。」




むぅー…と頬を膨らまして私を見てくる連が仔犬に見えたのは幻覚だと思いたい。



ヤバい。このままじゃ連のペースに引き込まれる。




すぐに危険を察知した私はあわわっ、と焦って目を閉じてみたけど少し遅かった。




「稚春が居てスッゲー嬉しい。最近逢えてなかったし…。稚春も俺に逢えて嬉しいよな?」




スルスルと滑るように私の目の前まで来た連が私の両手を軽くキュッ、と掴む。




「…っ、」




「ね、そうだよな?」




そしてなかなか答えようとしない私に、連はうるうるした瞳で見つめてきて答えを求めてきた。





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