赤い狼 四
相当怒ってるんだろう実の手には
原型を全くと言っていい程とどめていないポッキーの箱がみしみしと音をたてながら握られている。
いやこの際、潰されていると言った方が正しい。
「もう!何を考えてんのよ、隼人様っ!稚春を放って前の女探しかよ!ふざけんな!!!」
「前の女ってどういう事?"妃菜ちゃん"って隼人の元カノだったの?」
「稚春、それも知らないの!?あんたマジで《SINE》について色々知った方がいいって!」
本当に何も知らない私に、実が吠えた。こ、怖ぇ…。
たぶん、口元はひきつっていたと思う。
でも、私は必死に苦笑いを決め込んだ。
「あの女はね、隼人様と昔、付き合ってたのよ。
でも結果、隼人様を本気で好きだったんじゃなくて隼人様を騙してただけだった。」
「騙すって…。」
「あの女、当時《SINE》と敵対してた《黒王》っていうグループの頭の彼女だったのよ。隼人様と付き合ったのはその頭に命令されたから。」
「そんな…。」
酷い、と心の中で呟く。
隼人の過去に、そんな事があったなんて。