赤い狼 四
塚、そんな事があるわけないじゃん!
隼人が私の事を"妃菜"って呼ぶって…。マジない。あり得ない。
さすがにそこまでなったら何事においても完璧な稚春ちゃんも動揺を隠せないって。
クスクスと笑いながら掃除機を実達が居る部屋に持っていく。
「はいはーい!掃除機かけますよっ!退いて退いて!」
「面倒臭い~。」
「よし、お前らごと轢いてやろう。」
「ちょっ、痛いじゃない!」
「だったら早く退け!!」
―――――この時は、本当にあり得ないと思ってたんだ。
隼人が私の事を"妃菜"って呼ぶなんて。
私と昔の女を間違えて呼ぶなんて。
しかも今日、呼ばれるなんて。
「おい、妃菜。」
本当に、思ってもなかったんだ。