赤い狼 四





顔を顰めて隼人を見る。




―――素直に言えば、隼人も"妃菜ちゃん"について全部教えてくれるの?




唇の端をキュッと噛む。


さっきから"妃菜ちゃん"の事が頭から離れない。




"妃菜ちゃん"の事を頭から引き剥がしたいのに剥がれない。


それよりか、もっと貼り付いてくるようで。




治まりかけていたものがまた、動きだす。



もやもや、もやもや。

時々、ツキツキと痛んで。



最後に、どろどろしたものが私を呑み込んでしまいそうで怖い。


何、この気持ち。




はぁ、と体内の空気を吐き出す。


落ち着け、私。


何度か空気を吸っては吐いて、吸っては吐いてを繰り返す。



よし、だんだん落ち着いてきた。


最後に、ふぅ、と静かに息を吐き出す。




すると、今までの私の動作をずっと黙ったまま見ていた隼人が掴んでいた私の腕に力を込めてきた。




「…おい、早く言えよ。俺も暇じゃねぇんだ。」



「…じゃあ用事の方を優先すればいいじゃん。」



「は?」




思わず出てしまった私の言葉に隼人が眉間に濃く、皺を寄せた。



でももうここまで来たら引き下がれない。いや、引き下がらない。





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