赤い狼 四





無数のバイク、人。


武器を持ってる奴が何百人と隼人を囲んでいて。



隼人の隣に居た妃菜ちゃんはと言えば…そこのグループの頭の隣に居て。



それを見て目を見開く俺の隣で、やっぱりか、と誠也が小さく呟いたのを覚えてる。



あん時は混乱しててよく分かんなかったけど、誠也は薄々勘づいてたのかもしれねぇな。


アイツは勘が人一倍冴えてる奴だから。


あの時も勘が働いたに違いねぇ。



…まぁ、隼人をスゲェ慕ってたしな。心配で仕方なかったんだろうけど。



だから、バイクと人に囲まれた隼人を助けようといち早く飛び込んだのも誠也だった。



それに続いて俺らも飛び込んでいって。


棗が携帯で仲間を呼びながら喧嘩を余裕でしてんのが妙にウケて、

笑いながら皆で喧嘩したのを鮮明に、まだ覚えてる。




それほど遠い所じゃあねぇから仲間が来たのはすぐで、

何百人と居た敵はほとんど倒して残りは頭と妃菜ちゃん、それとかろうじて残った雑魚共だった。




向こうの頭が


「妃菜、上手く演技できてたろ?」


とニヤリと不気味な笑いを浮かべたのに腹が立った。



拳をきつく握りしめた隼人の後ろに居た《SINE》の奴等が



「妃菜さん…。」



と切なそうに呟いたのを痛々しく思った。





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