赤い狼 四
「何でって?そんな事も分かんないの?潰したいから近付いたに決まってるじゃない。」
でも、返ってきた答えは言ってほしくねぇ答えで、
そん時の妃菜ちゃんは俺らが今まで見てきた妃菜ちゃんではなく、"あっち側"の妃菜ちゃんで。
そうだったのか、とショックを受けて視線を下ろす俺に、隼人が持ってろ、と上着を渡してきた。
隼人が何をするかなんて、聞かなくても分かる。
相手の頭まで歩く隼人の肩が震えてる。
それは、怒りを表していた。
――ガンッ!――
金属バットを振りかざす音が聞こえる。
音がした方に視線を向けると、隼人に襲ってきた奴等を一発で倒していく隼人が居て。
これが、俺らの頭なのか。
と、久しぶりに見る隼人の本気に圧倒された。
そして、最後の雑魚を倒して頭の方へとゆっくりと隼人が動き出す。
相手はもう、終わった。という顔をしていて。
今思えばそれも作戦の内だったのか。と思うが、あの頃の俺らはこれで全てが片付いた、とホッとしながらその光景を見ていた。
頭と頭。
その領域に俺らが踏み入る事は出来ない。
全ては、次の隼人の行動で、決まる。