赤い狼 四
嘘だろ。嘘。
嘘だって誰か言え。否定しろ。
目の前でぐったりして動かねぇ誠也を見つめる。
でも、俺の否定とは裏腹に、全く反応を示さねぇ誠也。
馬鹿だ、お前は。
隼人突き飛ばして自分がバイクに轢かれるなんて。
助けるんならお前も助かれよ。
何、
「轢かれてんだよ!!!」
視界がぼやける。
俺、泣いてんじゃねぇか。
ハッ、情けねぇ。
涙を拭う。
「ハッ!頭庇って命危うしってか?涙誘うなぁ!美しい兄弟愛ってやつか?」
相手の頭がケタケタと笑う。
「テメェ…ふざけんなよ!!」
奏が頭に殴りかかろうとする。
「止めろ。」
でも、その手は隼人によって止められた。
「何でだよ!!」
奏が隼人の手を振りほどこうと腕を振り回す。
でも、相手は隼人だ。
敵うわけない。
「隼人は殺してぇと思わねぇのかよ!そんな奴だったのかよ!!お前の中での誠也はそんなもんだっ「思わねぇわけねぇだろ!!」
隼人が珍しく大きな声で叫ぶ。
騒がしかった場が一気に静まり返った。