赤い狼 四
それから…手術中のランプが消えて。
斎藤さんが手術室から出てきた。
マスクを外しながら歩いてきた斎藤さんの顔は、良いもんではなかった。
眉毛が垂れている。
俺らと目を合わせようとしねぇ。
――目尻だけ、微かに濡れている。
「―――斎藤。」
隼人が静かに斎藤さんの名前を呼ぶ。
「誠也は、苦しんでたか。」
最後の言葉は震えていた。
だけど、それをしっかりと受け止めた斎藤さんは首をゆっくりと横に振って。
「いいや。"《SINE》で過ごせて良かった。"そう、笑って言ってたよ。」
微笑むような、悲しむような、複雑な表情でそう言った斎藤さん。
「そうか。それなら良かった。斎藤。ありがとな。」
「すまねぇ…っ、」
隼人が俯く斎藤さんの肩を掴んだのを合図にするかのように。
「誠也!」
「誠也さん!嘘だと言って下さい!!」
「俺は、誠也さんに着いていくと決めていたんです!!なのに…っ、死んじまうなんて、あんまりです!」
「誠也!」
「誠也さん!!!」
俺らはしきりに泣いた。
―――――もう二度と戻ってこねぇ誠也を思いながら。