赤い狼 四
「あ。まーた忘れとったわ。稚春、頼みがあんねん。」
「…………何?」
な?少しだけやから。と眉を下げながら言ってくる龍から遠ざかる。
悪い予感しかしないんだけど。
「…そないに避けんでもええやんか。」
「………。」
どうしよう。龍が可愛い。
イジイジと自分の人差し指同士をくっ付けながら口を尖らせる龍に、少しだけ胸キュンした。
時々、チラッと私を見てはまた指に視点を戻す龍。
あー。罠だと分かってるけど…。
「り、龍がそこまで言うならその頼み事、きいてあげなくもないけど…。」
承諾せざるを得ないじゃないか。そんな、可愛い事されたら。
「ホンマか!?」
私が返事を返すと、龍がさっきまでのイジイジっぷりが嘘かのような眩しい笑顔を私に見せて笑う。
やっぱりさっきの可愛さは罠だったのね、と感心したと同時に気が抜けた。