赤い狼 四
それを見た龍は、あからさまにニヤリと笑って信じられないものを紙袋から取り出した。
龍の手に握られている物体を見て顔が引く攣る。
「ほな、これに着替えて。」
でもそんな私を一切無視で愛嬌のある笑顔を私に向けてくる龍を、凄く固い物で殴ってやりたい衝動に駆られた。
龍の手に握られているその物体は私の中で少し…いや、かなり抵抗があるものでもあり、トラウマの一つでもあった。
だから、はい。じゃあ着てきます。なんて到底言えない。
「こ、これを着ろって…?」
「せやで?」
「ほ、本気で言ってる?」
嘘だと言ってほしい、と龍に視線を向ける。
龍へと向けた声は少し、震えていた。
「着るのが嫌なのか?」
「えっと…。」
隣に座ってきた要が上目遣いで私の顔を心配そうに覗いてくる。
嫌といえば嫌だ。
でも、一週間に二回は《VENUS》に来いと言われていた約束を破ったというか、
すっかり忘れていた私が否定の言葉を口にする事はできない。
塚、そんな事したら今、龍の後ろで負のオーラを醸し出している拓磨に殺されかねない。
それは何としてでも避けたい。