赤い狼 四
でもそれは単なる私のわがままで。
それにこれはいい感情とは絶対に言えないもの。
憎しみ、にも近い気がする。
そんな醜い心を持っている私がなんだかんだ言っていつも優しい皆の近くに居る事なんて出来ない。
でも、そう思いながらも離れたくない。と願っている私は、やっぱりどこまでも自分の事しか考えていない、わがままだ。
でも、それは単に私が勝手に思っている事。だから、皆は私と同じことを思っているとは限らない。
いや、考えなくても分かる。《SINE》や《VENUS》の人達は私がこつぜんと姿をくらましても困らないと思う。
むしろ、私が消えてもそんな奴そういえば居たな、くらいだろう。
だって私は大したことなんて何もしてないし、一時期のお気に入りにしか過ぎないから。
あの人達は私とは世界も、次元も、違う。
だからこそ、私は。
「この街を、出ていく。」
妙に静かな空間の中、自分の発した声だけが重く、低く響いた。